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『信長協奏曲』第2巻、ユニークな木下藤吉郎像

2011年12月29日

 石井あゆみ『信長協奏曲』第2巻は桶狭間の合戦前夜までを描く。木下藤吉郎が腹黒い人間として描かれている点が特徴である。椎名高志『MISTERジパング』の日野秀吉を彷彿させるが、それを上回る。藤吉郎の出自についても大胆な解釈がなされている。豊臣秀吉の晩年が悪辣な権力亡者であることは多くの人の認めるところであるが、信長の家臣時代は善人に描かれることが多かった。これは秀吉の一生を描く場合に一貫性に欠けるものになる。本書のような秀吉は実は実態に近いかもしれない。(林田力)
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『信長協奏曲』第1巻、異色なタイムスリップ物

2011年12月29日

石井あゆみ『信長協奏曲』は現代の高校生サブローが戦国時代にタイムスリップし、織田信長になりかわる漫画である。タイムスリップ物としては異色である。
第一に主人公が飄々としていて、元の時代に戻りたいという意識が乏しい。タイムスリップの意味や現代に戻るためにどうすればいいか悩むこともない。現代を思い出すシーンもない。
第二にタイムスリップ物におけるタイムスリッパーの最大の強みは未来を知っていることであるが、本書の主人公は勉強が苦手という設定で歴史知識がない。明智光秀も知らないほどである。
主人公の強みは運動能力や視力である。一般に現代人は文明生活によって身体能力は退化している。そのため、肉体的には過去の人々に劣るが、未来を知っているという頭脳面をアドバンテージとする傾向がある。この点で本書の設定は異質である。但し、栄養状態の良い現代人の方が身体能力は高いと考えることもできる。その点では本書はリアリティがある。
第三に結果的に史実に沿っていることである。タイムスリップ物は歴史のIFを楽しむものである。しかし、本書は実際の歴史が史実と異なっており、主人公の言動によって伝えられている史実通りになる。信長は病弱であったが、戦国時代の常識を知らない主人公と入れ替わることで、「うつけ者」と呼ばれるようになる。未来人の過去の言動も折り込み済みで歴史となる「ドラえもん」的な世界である。
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林田力オカルト、怪談、幽霊、ミステリー
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『FAIRY TAIL』第30巻、バトル漫画の新機軸となる展開

2011年12月23日

『FAIRY TAIL』は真島ヒロが『週刊少年マガジン』(講談社)で連載中の魔法ファンタジー漫画である。第30巻では天狼島が終結し、物語に大きな変化が生じる。巻末で作者自身が述べているように物語の時間を進ませて、その間に主人公達がパワーアップしている展開は定番である。最近は尾田栄一郎の『ONE PIECE』がある。
しかし、主人公達だけが成長しないまま、時間を経過させる展開は珍しい。近いところで空知英秋『銀魂』のイボ編のように激変した世界や人物に驚く浦島太郎的展開はある。これのバトル漫画への適用は新機軸になる。バトル漫画は常に新しい強敵を必要とし、新たな敵は従来の敵よりも強くなければならない。主人公達はパワーアップせず、周囲の新たな強豪を成長させることで強さのインフレによる世界観の破綻を回避できる。(林田力)
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林田力:東急不動産係長が顧客に脅迫電話で逮捕、犯罪者に
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林田力 二子玉川ライズ問題
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『大和の獅子』第1巻、『白竜』とは異なる脚色

2011年12月18日

『風雲代議士剛腕秘書 大和の獅子』は鍋島雅治原作、渡辺みちお画の劇画である。切れ者の政治家秘書が政治家を衆議院議員に当選させ、総理大臣にするために奮闘する。切れ者の部下と抜けているところもある中年太りの親分の組み合わせは、同じ渡辺が作画した『白竜』と共通する。原作者は別人でありながら、構成が似通った点は興味深い。
『白竜』では何故、白竜ほどの人物が黒須組長の子分に甘んじているのか理由が明確ではない。これに対して『大和の獅子』では主人公が政治家に心服したエピソードが描かれている。政治家も決してクレバーではないが、大人物の片鱗を見せている。
『大和の獅子』には実在の政治家をモデルとしたキャラクターや実在の事件をモデルとしたエピソードも登場する。この点も暴力団の東急電鉄株買い占めなどを扱った『白竜』と類似する。但し、実在の事件をなぞり、暴力団のシノギに結びつける『白竜』に対し、『大和の獅子』は脚色が濃い。
弱者の痛みがわからないとの批判もある弁護士出身の政治家をモデルとした人物が阪神大震災の被災者であり、ボランティアの炊き出しへの感動を原点としている。また、尖閣諸島沖での海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件を連想するエピソードも日本と中国の立場が入れ替わっている。
登場人物には十五年戦争の従軍兵士も登場する。無謀な作戦を立案しながら、戦死者続出の結果に対して「想定外」との理由で責任回避する参謀への怒りは、福島第一原発事故の無責任さに通じるものがある。(林田力)
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林田力こうして勝った
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『BLEACH』第53巻、『ゴルゴ13』第163巻

2011年12月17日

久保帯人が『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画『BLEACH-ブリーチ-』第53巻が、12月2日に発売された。この巻では満を持して護廷十三隊の死神達が再登場する。人気キャラクターを再登場させる梃入れ策の面も否めないものの、死神の魅力が深掘りされた内容になった。
林田力「『BLEACH』第53巻、消化試合でも人気キャラの魅力を深掘り」リアルライブ2011年12月8日
http://npn.co.jp/article/detail/01818176/
林田力「真相JAPAN主幹の橘匠が陰謀論を切る」PJニュース2011年12月13日
http://www.pjnews.net/news/794/20111211_2
林田力「『家政婦のミタ』相武紗季が重要人物に急浮上」リアルライブ2011年12月13日
http://npn.co.jp/article/detail/25772565/
林田力「『ゴルゴ13』第163巻、アナログな戦術でハッカーに対抗」リアルライブ2011年12月15日
http://npn.co.jp/article/detail/22357400/
 さいとう・たかをが『ビッグコミック』で連載中の漫画『ゴルゴ13』第163巻が、12月7日に発売された。この巻では表題作の「BEHOLDER」と、「世界的大流行」「プリンセスの涙」の3話を収録する。
 「BEHOLDER」は小型核兵器を持つ核科学者と国際テロ組織を同時に暗殺するという至難のミッションに挑む。核科学者側には天才的なハッカーがおり、監視カメラをハッキングしてゴルゴ13を監視する。街中に監視カメラが溢れる現代ではSF小説で描かれたような監視社会が現実化していることを警告する。自らの記録を残すことを嫌うゴルゴ13でも街中の監視カメラからは逃れられない。
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