忍者ブログ
< 06月 | 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 | 08月 >

『デストロイ』第1巻、超能力による社会変革

2012年01月06日

森恒二『デストロイアンドレボリューション』(集英社)は超自然的な能力を持つ高校生が日本社会を変えるためにテロを起こす物語である。主人公マコトは行き場のない怒りと孤独を抱える高校生である。驚異的な能力を身に付けた彼は理不尽な日本社会に破壊的な革命を目論む。
主人公が超自然的な能力を持ち、それを使って社会を変えようとする展開は定番である。代表例として『DEATH NOTE』がある。一方で本書の特徴は主人公が自分の力を用いて積極的に何かをしようとする夜神月的な存在ではないことである。主人公は受け身な人物で、計画は夜神月的存在の同級生が立てている。主人公は同級生の計画が完全に正しいものか葛藤する存在である。
現実社会を舞台にした作品において、超自然的な能力は作品世界のリアリティを破壊しかねないものである。たとえば超自然的な能力を発揮する道具を偶然拾うという展開は、いかにも漫画的である。これに対して本書では主人公のような受け身の人物が超自然的な能力を持つことが説得的に描かれている。(林田力)
http://setagaya.sankuzushi.com/
林田力hayariki韓国ドラマ
http://hayariki.yotsumeyui.com/
林田力『こうして勝った』FriendFeed
http://friendfeed.com/hayariki
PR
▲page top

『代紋TAKE2』ヤクザの盃関係や仁義を綿密に描く

2012年01月03日

『代紋TAKE2』木内一雅原作、渡辺潤作画のヤクザ漫画である。海江田組組員・阿久津丈二は、うだつの上がらないチンピラで、弟分からも舐められる始末であった。鉄砲玉にさせられた挙句、自分が撃った弾丸の跳弾に当たり、あっけなく死亡する。ところが、何故か10年前にタイムスリップして人生をやり直す。
誰しも「あの時、別の選択をしていれば」と思うことはある。東急不動産だまし売り裁判でたとえるならば「東急リバブルからマンションを購入しなければ」となる。ゼロゼロ物件被害者ならば「ゼロゼロ物件で賃貸借契約しなければ」となる。
そのような人生のIFを『代紋TAKE2』では丁寧に描いていく。うだつの上がらないチンピラに過ぎなかった主人公はヤクザとして頭角を現していく。これまでの惨めな自分とは決別し、これからは金の代紋を目指して極道をひた走る。画がヤンキー漫画風であるために拒否感を抱く向きもいるかもしれない。しかし、ヤクザの盃関係や仁義を綿密に描いている。(林田力)
https://sites.google.com/site/lintianlisanlang/
『こうして勝った』林田力の書評
http://book.mamagoto.com/
林田力:二子玉川ライズ優先で世田谷区の家計簿に歪み
http://hayariki.x10.mx/kakeibo.html
▲page top

『信長協奏曲』第5巻、異色の羽柴秀長:林田力

2012年01月03日

石井あゆみ『信長協奏曲』第5巻では天下布武に向かって進むサブロー信長の敗北が描かれる。越前・朝倉攻め連戦連勝を続けていたが、絶体絶命の危機に陥る。そこでのサブローの決断は史実通りではあるが、戦国武将的な常識のない平成の高校生的な内容であった。

この巻では秀吉の弟(後の羽柴秀長、豊臣秀長)が登場する。晩年は暴虐な独裁者となった秀吉への評価は分かれるが、秀長には温厚篤実で善良というイメージが圧倒的である。豊臣政権の暴走も秀長の死を端緒とする見方が根強い。秀長が生きていれば千利休の切腹も朝鮮出兵も豊臣秀次の粛正もなかったとの見解もある。

これに対して、『信長協奏曲』では秀長も曲者である。タイムスリップという特殊性なしに歴史物としても純粋に興味深い。

木下藤吉郎改め羽柴秀吉に対しては竹中半兵衛と明智光秀が警戒心を抱く。信長協奏曲で半兵衛は秀吉よりも信長に惹かれている。その半兵衛が秀吉の配下になる理由が見えてきた。

一般に伝えられている歴史では秀吉は柴田勝家と緊張関係にあったが、光秀とは外様同志ということもあって仲は悪くなかったとされることが多い。一方で本能寺の変前夜には秀吉を比較対象とした信長から、プレッシャーを受けていたと描かれることも多い。たとえば大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』がある。織田家臣団の人間関係にも大いに注目である。(林田力)
http://hayariki.net/index2.html
東急電鉄が大井町線高架下住民に立ち退きを迫る
http://hayariki.net/tokyu/ohimachi.html
▲page top

『信長協奏曲』第4巻、魅力的な歴史上の人物

2012年01月02日

石井あゆみ『信長協奏曲』第4巻では、美濃を平定した信長は明智光秀を家臣とし、足利義昭を奉じて上洛する。光秀は足利義昭の下から信長の家臣に転身したとする見方が一般的であるが、信長協奏曲では信長ありきになっている。信長と義昭の間には史実同様の溝が生まれるが、間に入る細川藤孝が食わせ者である。ここでも魅力的な歴史上の人物が描かれる。
『信長協奏曲』の信長は飄々としており、怒りを見せない。これは伝えられている信長像との大きな相違点である。比叡山延暦寺の焼き討ちなどの描写が注目される。(林田力)
http://b.hatena.ne.jp/hayariki3/
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』[本]
http://hayariki.net/index2.html
▲page top

『信長協奏曲』第3巻、竹中半兵衛や明智光秀が登場

2011年12月30日

石井あゆみ『信長協奏曲』は平成生まれの高校生サブローがタイムスリップして織田信長になる青春戦国記である。織田信長の歴史的イメージからするとサブローは線が細く、軽薄であり、好き嫌いが分かれるところである。しかし、佐藤賢一『女信長』では信長を女性と描いたように信長という革新児は普通の武将と懸け離れたところがある。
第3巻は桶狭間の合戦で幕を開け、美濃攻略が描かれる。「今、彼らの協奏曲が始まろうとしている」とのナレーションによってタイトル『信長協奏曲』の理由も明らかになる。タイトルだけでは『のだめカンタービレ』のようなジャンルの作品と勘違いした人もいただろう。
この巻では竹中半兵衛や明智光秀という重要人物が登場する。竹中半兵衛は織田信長よりも秀吉を評価していたと伝えられることが多い。しかし、『信長協奏曲』は信長と直接出会い、信長を認めたような様子である。竹中半兵衛がどのような動機で織田家に仕えるか見どころである。さらに明智光秀も非常にユニークな設定であり、どのように本能寺の変が描かれるか著者の歴史解釈に興味が尽きない。(林田力)
http://hayariki.fukuwarai.net/
wiki林田力ブログ
http://blog.livedoor.jp/hayachikara/
林田力 二子玉川ライズ問題
http://www5.hp-ez.com/hp/hayariki
▲page top

▲page top