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『ジョジョリオン 2』v 林田力 wiki記者レビュー

2012年08月26日

荒木飛呂彦『ジョジョリオン』は人気シリーズ『ジョジョの奇妙な冒険』のPart8に位置付けられる漫画である。『ジョジョの奇妙な冒険』は「ジョジョ」の愛称を持つ主人公が強大な敵と戦うアドベンチャーである。

Part1からPart6までは19世紀末英国の貴族ジョナサン・ジョースターと、その子孫が主人公とするジョースター家の物語であった。これに対してPart7の『STEEL BALL RUN』はパラレルワールド的作品で、キャラクターもストーリーも前作とは連動していない。

『ジョジョリオン』の舞台はPart4「ダイヤモンドは砕けない」と同じ杜王町である。吉良、広瀬、東方という懐かしのキーワードが登場する。しかし、登場人物は同じ名前や似たような名前でもPart4とは別人というパラレルワールド的設定である。第2巻で東方家の先祖がアメリカ大陸横断レースに参加したと語られており、『STEEL BALL RUN』の世界と接続していることが分かる。

Part4の読者にとって『ジョジョリオン』の世界は一見すると抵抗がある。主人公はPart4の主人公と同じ名前を名乗ることになるが、記憶を喪失しており、善人か悪人か不明である。しかもPart4の悪役であった吉良吉影との関係性がほのめかされている。

さらにPart4では主人公サイドであった東方家の面々が胡散臭い。『ジョジョの奇妙な冒険』ではディオのように敵キャラクターにも底知れない存在感や悪の魅力を放っていた。しかし、ジョジョリオンではチンピラめいた胡散臭さにとどまっており、迫力に欠ける。
http://www.hayariki.net/5/9.htm
それでも第2巻の後半から迫力が出てきた。ここではスタンド対決が展開されるが、敵が公正さを重んじて自分の弱点を相手に教えている。これによって敵キャラクターに底知れない迫力を与えることができた。

現実の日本ではクライアントほしさのあまり法律事務所が「弁護士は公正中立ではありません」などという広告を出すほどの浅ましい状況である(林田力「弁護士の粗末な交渉で泥沼相続紛争(中)」PJニュース2010年10月8日)。その中で『ジョジョリオン』は敵キャラクターにも公平を重んじさせ、敵ながら魅力を与えている。
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大暮維人『エア・ギア(36)』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月24日

大暮維人『エア・ギア(36)』は武内空との最終決戦の続きである。近年の長編バトル漫画ではラスボスが底の浅い詰まらないキャラクターに変貌してしまう例が少なくない。例えば荒川弘『鋼の錬金術師』である。キンブリーやブラッドレイ父子のドラマチックな最後と比べるとラスボスは霞んでしまう。謎に包まれていた時点では底知れなさがあったものの、正体が明らかになるとメッキが剥げてしまう。

『エア・ギア』の空も同じである。最終決戦で空の外見は大きく変貌するが、ヤンキー風の情けない風貌になってしまった。ヤンキー風にすることで強さ、怖さ、迫力を醸し出そうとしていることは理解できるが、時代遅れの手法である。現代ではヤンキーは時代遅れの恥ずかしい風俗になっている(林田力「『白竜LEGEND』第19巻、 愚連隊は敵役としても力不足」リアルライブ2011年10月27日)。

ヤンキー風の風貌は一見すると強面でも情けないヤラレ役、雑魚キャラクターと相場が決まっている。物語では圧倒的な強さを隠し持っていることが明らかになるが、主人公に倒されることが必然になる。(林田力)
http://www.honzuki.jp/book/status/no75010/index.html
二子玉川ライズがダメな理由
http://hayariki.net/2/16.htm
二子玉川ライズが空室になる要因
http://www.hayariki.net/2/17.htm
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『バクマン。19』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月19日

『バクマン。19』は亜城木夢叶と新妻エイジの漫画対決が続く。漫画が好調で、アニメ化も見えた亜城木夢叶であったが、漫画以外の分野でピンチに陥る。

『バクマン。』の魅力は漫画出版業界の内幕を明らかにするリアリティにある。亜城木夢叶は実在の雑誌『週刊少年ジャンプ』に連載しているという設定であり、登場する編集者も実際の編集者をモデルとした人物ばかりである。『週刊少年ジャンプ』の読者アンケートの仕組みも明らかにされ、亜城木夢叶はアンケート上位を目指して奮闘する(林田力「『バクマン。』第14巻、計算型の新人漫画家とガチンコ対決」リアルライブ2011年8月10日)。

『バクマン。19』では声優業界の内幕も描かれる。AKBの指原 莉乃や元モーニング娘。の高橋愛の報道がなされる中でタイムリーなコミックス刊行になった。リアルな実情が描かれるが、マスメディアへの悪意が乏しい点で業界側の作品という印象が残る。
http://www.hayariki.net/5/22.htm
最も醜い存在はプライバシーを暴いて金儲けするパパラッチ的なマスメディアであるが、不注意な芸能人と悪意あるファンと匿名掲示板の問題としてまとめられる。『バクマン』は編集の趣味で漫画家の作品の方向性を歪ませる問題を取り上げながら、後には編集否定の漫画家を悪役とした(林田力「『バクマン。』第15巻、編集否定漫画家の自滅でジャンプの自己肯定」リアルライブ2011年10月20日)。今回のテーマでも週刊誌やワイドショーの悪意を前面に出さないところに良くも悪くも業界内内幕物としての立ち位置がある。
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篠原健太『SKET DANCE』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月16日

篠原健太『SKET DANCE』(スケットダンス)は『週刊少年ジャンプ』で連載中の学園ギャグ漫画である。学園生活の悩みやトラブルを解決する部活動・学園生活支援部、通称スケット団に所属するボッスン(藤崎祐助)、ヒメコ(鬼塚一愛)、スイッチ(笛吹和義)らの活躍を描く。抱腹絶倒のギャグが多いが、ホロリとする人情話もある。

この点で同じく『週刊少年ジャンプ』で連載中の空知英秋『銀魂』と類似するポジションである。一方で両作品の舞台設定は大きく異なる。『銀魂』が天人に侵略された江戸という複雑な背景を背負った架空社会を舞台とする。これに対し、『SKET DANCE』は現実離れしたキャラクターや発明品が登場するものの、現代日本の普通の高校が舞台である。このため、人情話も『銀魂』には大時代的なロマンがあるが、『SKET DANCE』の話には親近感が湧くことが多い(林田力「『SKET DANCE』アニメ化への期待」リアルライブ2010年11月8日)。

また、『銀魂』の笑いがボケにあるならば、『SKET DANCE』はヒメコのツッコミである。特に週刊少年ジャンプ44号(2010年10月4日発売)に掲載された第156話「ロマンが道を往く」はツッコミが冴えていた。男子漫研と女子漫研のマンガ対決で、作品中にマンガが登場し、そのマンガに登場人物が容赦なくツッコミを入れる。

これは同じジャンプ44号に掲載された『銀魂』第326訓「GWあけも見えるっちゃあ見える」と読み比べても面白い。この回の『銀魂』はツッコミ不足を自認する内容であった。ボケキャラが多い中で数少ないツッコミ要員の志村新八が「ツッコミ、サボってた」と自白していた。

『SKET DANCE』は2011年春からアニメ放送も開始された。『SKET DANCE』が表紙及び巻頭カラーとなった週刊少年ジャンプ47号(2010年10月25日発売)上で発表された。

『銀魂』は既にアニメ化されたが、2010年3月に惜しまれつつも放送終了した。アニメ版『銀魂』は原作のテイストを活かし、原作以上に暴走した好作品であった。アニメスタッフが好き勝手やっている感もあるが、原作を読み込み、原作を愛していることが伝わる演出になっていた。アニメ版『SKET DANCE』でも原作の持ち味を活かした暴走が見られるか楽しみである。

『SKET DANCE 24』ではボッスンらが3年生に進級し、新入生も入学する。クラス替えや学級委員の選出、新入生向け部活紹介など新学期の学園イベントが続く。新入生にはスケット団のライバルも登場する。いかにも対抗馬というキャラ造形の中で九州弁の少女が印象的である。美少女的な外見と方言のギャップがモーニング娘。の田中れいなのようなインパクトがある。
http://www.hayariki.net/5/5.htm
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『BLEACH―ブリーチ― 55』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月08日

久保帯人『BLEACH―ブリーチ― 55』は最終章・千年血戦篇に突入した。かつて尾田栄一郎『ONE PIECE』や岸本斉史『NARUTO-ナルト-』と共に『週刊少年ジャンプ』の三本柱に数えられたブリーチであったが、ピンチになってから必殺技を出すなどの御都合主義的な展開が批判されて失速気味である。

起死回生を図りたい新章では、連載当初の好敵手である石田雨竜との関連性が高い内容となっており、物語に一貫性を持たせている。『BLEACH』では連載第1話の扉絵に破面篇で初登場する平子真子が掲載されるなど、実は話が練られている。作者が最初から構想していたエピソードと読者に印象付けることは重要である。

一方で『BLEACH』失速の一因として描かれるヒーロー像が古い。主人公の黒崎一護は窮地に陥った過去の敵・破面(アランカル)を助けることに何の躊躇もない。昨日の敵は今日の友であり、目の前に苦しむ人いれば、その人物が過去に悪逆非道な人物であっても助けるという姿勢は従来型のヒーロー像には合致する。

しかし、過去を水に流し、焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むだけの発想が受けなくなった現在では古臭い。実際、『ONE PIECE』のルフィは自分達が助け出そうとする人物が過去に戦った敵だと知って「おれ達はお前なんか助けねェぞ」と言い放つ。最終的には助けることになるが、「たこ焼きが食べたい」が動機になっており、道徳的な優等生にはなっていない(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。

千年血戦篇の敵勢力である「見えざる帝国」(ヴァンデンライヒ)はドイツ語風である。スペイン語風であった破面と差別化している。個性があり、各々に様々な思惑のあった破面に対し、見えざる帝国は全体主義的である。構成員の外見はアランカルよりも人間的であるが、破面の方が人間臭い。敵ながら憎めない存在もいたアランカルに比べて、見えざる帝国は個性が乏しい。あくまでステレオタイプな民族文化のイメージになるが、破面も見えざる帝国もスペインやドイツのステレオタイプなイメージとマッチしている。

人権意識の低い日本では欧米先進国と比べてナチスドイツの問題性に対する意識が低い。ロックバンド氣志團がナチス親衛隊の制服を髣髴させる衣装でテレビ出演し、米国ユダヤ人権団体サイモン・ウィーゼル・センターから抗議を受けた。文明国にあるまじきものと非難される。

もっと破廉恥な状況もある。弁護士が自己のマネジメント会社のウェブサイトにハーケンクロイツを掲載した。ハーケンクロイツはナチスの公式シンボルである。親衛隊の制服に似た衣装どころの問題ではない。人権擁護を使命とする弁護士がハーケンクロイツを掲げることは、ロック歌手以上に問題である。この問題もサイモン・ウィーゼンタールに情報提供された。その意味で第三帝国を彷彿させる軍国ドイツ風に憎むべき敵勢力を描くことは日本社会に好影響を及ぼす。(林田力)
http://www12.atpages.jp/~hayariki/haya/5/16.htm
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