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『信長協奏曲』第5巻、異色の羽柴秀長:林田力

2012年01月03日

石井あゆみ『信長協奏曲』第5巻では天下布武に向かって進むサブロー信長の敗北が描かれる。越前・朝倉攻め連戦連勝を続けていたが、絶体絶命の危機に陥る。そこでのサブローの決断は史実通りではあるが、戦国武将的な常識のない平成の高校生的な内容であった。

この巻では秀吉の弟(後の羽柴秀長、豊臣秀長)が登場する。晩年は暴虐な独裁者となった秀吉への評価は分かれるが、秀長には温厚篤実で善良というイメージが圧倒的である。豊臣政権の暴走も秀長の死を端緒とする見方が根強い。秀長が生きていれば千利休の切腹も朝鮮出兵も豊臣秀次の粛正もなかったとの見解もある。

これに対して、『信長協奏曲』では秀長も曲者である。タイムスリップという特殊性なしに歴史物としても純粋に興味深い。

木下藤吉郎改め羽柴秀吉に対しては竹中半兵衛と明智光秀が警戒心を抱く。信長協奏曲で半兵衛は秀吉よりも信長に惹かれている。その半兵衛が秀吉の配下になる理由が見えてきた。

一般に伝えられている歴史では秀吉は柴田勝家と緊張関係にあったが、光秀とは外様同志ということもあって仲は悪くなかったとされることが多い。一方で本能寺の変前夜には秀吉を比較対象とした信長から、プレッシャーを受けていたと描かれることも多い。たとえば大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』がある。織田家臣団の人間関係にも大いに注目である。(林田力)
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東急電鉄が大井町線高架下住民に立ち退きを迫る
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『信長協奏曲』第4巻、魅力的な歴史上の人物

2012年01月02日

石井あゆみ『信長協奏曲』第4巻では、美濃を平定した信長は明智光秀を家臣とし、足利義昭を奉じて上洛する。光秀は足利義昭の下から信長の家臣に転身したとする見方が一般的であるが、信長協奏曲では信長ありきになっている。信長と義昭の間には史実同様の溝が生まれるが、間に入る細川藤孝が食わせ者である。ここでも魅力的な歴史上の人物が描かれる。
『信長協奏曲』の信長は飄々としており、怒りを見せない。これは伝えられている信長像との大きな相違点である。比叡山延暦寺の焼き討ちなどの描写が注目される。(林田力)
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』[本]
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『信長協奏曲』第3巻、竹中半兵衛や明智光秀が登場

2011年12月30日

石井あゆみ『信長協奏曲』は平成生まれの高校生サブローがタイムスリップして織田信長になる青春戦国記である。織田信長の歴史的イメージからするとサブローは線が細く、軽薄であり、好き嫌いが分かれるところである。しかし、佐藤賢一『女信長』では信長を女性と描いたように信長という革新児は普通の武将と懸け離れたところがある。
第3巻は桶狭間の合戦で幕を開け、美濃攻略が描かれる。「今、彼らの協奏曲が始まろうとしている」とのナレーションによってタイトル『信長協奏曲』の理由も明らかになる。タイトルだけでは『のだめカンタービレ』のようなジャンルの作品と勘違いした人もいただろう。
この巻では竹中半兵衛や明智光秀という重要人物が登場する。竹中半兵衛は織田信長よりも秀吉を評価していたと伝えられることが多い。しかし、『信長協奏曲』は信長と直接出会い、信長を認めたような様子である。竹中半兵衛がどのような動機で織田家に仕えるか見どころである。さらに明智光秀も非常にユニークな設定であり、どのように本能寺の変が描かれるか著者の歴史解釈に興味が尽きない。(林田力)
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林田力 二子玉川ライズ問題
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『信長協奏曲』第2巻、ユニークな木下藤吉郎像

2011年12月29日

 石井あゆみ『信長協奏曲』第2巻は桶狭間の合戦前夜までを描く。木下藤吉郎が腹黒い人間として描かれている点が特徴である。椎名高志『MISTERジパング』の日野秀吉を彷彿させるが、それを上回る。藤吉郎の出自についても大胆な解釈がなされている。豊臣秀吉の晩年が悪辣な権力亡者であることは多くの人の認めるところであるが、信長の家臣時代は善人に描かれることが多かった。これは秀吉の一生を描く場合に一貫性に欠けるものになる。本書のような秀吉は実は実態に近いかもしれない。(林田力)
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林田力スポーツ
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『信長協奏曲』第1巻、異色なタイムスリップ物

2011年12月29日

石井あゆみ『信長協奏曲』は現代の高校生サブローが戦国時代にタイムスリップし、織田信長になりかわる漫画である。タイムスリップ物としては異色である。
第一に主人公が飄々としていて、元の時代に戻りたいという意識が乏しい。タイムスリップの意味や現代に戻るためにどうすればいいか悩むこともない。現代を思い出すシーンもない。
第二にタイムスリップ物におけるタイムスリッパーの最大の強みは未来を知っていることであるが、本書の主人公は勉強が苦手という設定で歴史知識がない。明智光秀も知らないほどである。
主人公の強みは運動能力や視力である。一般に現代人は文明生活によって身体能力は退化している。そのため、肉体的には過去の人々に劣るが、未来を知っているという頭脳面をアドバンテージとする傾向がある。この点で本書の設定は異質である。但し、栄養状態の良い現代人の方が身体能力は高いと考えることもできる。その点では本書はリアリティがある。
第三に結果的に史実に沿っていることである。タイムスリップ物は歴史のIFを楽しむものである。しかし、本書は実際の歴史が史実と異なっており、主人公の言動によって伝えられている史実通りになる。信長は病弱であったが、戦国時代の常識を知らない主人公と入れ替わることで、「うつけ者」と呼ばれるようになる。未来人の過去の言動も折り込み済みで歴史となる「ドラえもん」的な世界である。
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林田力オカルト、怪談、幽霊、ミステリー
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林田力『こうして勝った』
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