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『紋章を継ぐ者達へ』第13巻、明確な敵との戦い

2012年01月18日

藤原カムイ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 紋章を継ぐ者達へ』は大人気RPGゲーム「ドラゴンクエスト」の世界を舞台とした漫画である。この巻ではオーブを手に入れるため訪れた地でアロスとアニスが再会する。各々の目的を果たすために二人は対峙し、圧倒的な敵も出現する。
 『紋章を継ぐ者達へ』は同じ作者の『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』から20年後の世界である。主人公のアロスは前作で活躍した勇者アランとアステアの息子である。主人公の仲間になるリーは剣王キラと拳王ヤオの息子である。その意味で本作品は「キン肉マンII世」や「暁!男塾」などと同様、二世マンガの一種である。
 しかし、本作品は前作ともドラゴンクエストの世界観からも異なる雰囲気を出している。ドラゴンクエストは人間の勇者が、人間を滅ぼそうとする魔王と戦う物語である。人間と魔王の率いるモンスターは対立関係にある。しかし、本作品では魔王に相当する存在は未だ現れていない。しかも、人間の盗賊団が人間の村を襲うなど人間同士が争っている。アロス自身、盗賊団で育っている。善対悪という単純な構図は見えない。
 『紋章を継ぐ者達へ』は魔王という明確な敵と戦う物語ではなく、人々が消え、呪文が失われた謎を解明する物語である。バトルよりもミステリー要素が強い作品である。そこにもどかしさを感じる読者も少なくない。これに対して第13巻は転換点である。
 これまでの単行本の表紙は青を基調とするが、第13巻は黄色である。過去にも第7巻が赤い表紙になっており、そこでは物語の大きな転換点となった。第13巻も同じである。明確な敵との戦いが発生し、敵の狙いも明らかになった。主人公サイドの人物にも大きな変化が生じる。ストーリーのテンポが早まっている。(林田力)
http://hayariki.net/
林田力 新聞
http://hayariki.net/nikkan.htm
林田力こうして勝った
https://sites.google.com/site/hayariki9/
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『銀の匙』『ヨルムンガンド』

2012年01月07日

『謎解きはディナーのあとで』リアルでキュートな北川景子のお嬢様
http://npn.co.jp/article/detail/75653223/
林田力「『銀の匙』第2巻、答は一つではない畜産農業の多様性」リアルライブ2011年12月22日
http://npn.co.jp/article/detail/31620236/
 荒川弘が『週刊少年サンデー』で連載中の漫画『銀の匙 Silver Spoon』第2巻が、12月14日に発売された。『銀の匙』は北海道の農業高校を舞台に八軒勇吾の高校生活を描く酪農学園物語である。この巻では捨てられた石釜を使ってのピザ作りや夏休み中の農場アルバイトなど学校の勉強を越えた実践的な酪農生活が描かれる。

 大自然に囲まれた農業高校生活は読者の大多数を占める都市生活者の対極的な生き方である。主人公の八軒自身も都会的な価値観の中で夢を失い、農業高校生活の中で生きる意味を見出していく。しかし、本書は単純な都会にはない農村の豊かさという二項対立で終わらない奥深さがある。夏休み中に八軒は複数の農場を見学し、乳牛を殺す方針も農場によって様々であることを知る。

林田力「『家政婦のミタ』『専業主婦探偵』ガンバリズム否定の労働者像」リアルライブ2011年12月27日
http://npn.co.jp/article/detail/82400422/
林田力「桃野よしふみ世田谷区議がデジコン問題を説明」PJニュース2011年12月27日
http://www.pjnews.net/news/794/20111225_4
林田力「『ヨルムンガンド』第10巻、不気味な武器商人の意外な一面」リアルライブ2011年12月28日
http://npn.co.jp/article/detail/48757624/
 高橋慶太郎が『月刊サンデージェネックス』(小学館)で連載中の漫画『ヨルムンガンド』が、12月19日に発売された。武器商人ココ・ヘクマティアルと私兵チームの世界をまたにかけた戦いを描く。アニメ化も決定された。
 ココは世界的な海運業者の娘で、武器商人である。自身の護衛や裏家業のために私兵を擁している。クールビューティーであるが、何を考えているか分からない不気味さが漂う。世界平和のために武器を売るという一見すると矛盾する発言をしたココであるが、この巻ではココの野望であるヨルムンガルドの内容が明らかになる。
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『デストロイ』第2巻、ヤンキーへの怒り

2012年01月06日

森恒二『デストロイアンドレボリューション』第2巻では主人公マコトらのテロが本格化する。目撃者も痕跡も残さず、次々と巨大建造物を破壊していく。数あるテロのターゲットの中で主人公らが巨大建造物を選択したことは興味深い。「コンクリートから人へ」を掲げた民主党が国民の圧倒的な支持を得たことが示すようにコンクリート建造物は現代日本において社会悪の象徴である。
テレビ局の挑戦を受けるなどテロ活動は社会の注目を集めるようになったが、一方でマコトは煮え切らない態度である。マコトは同級生との人間的な幸福を見つけ、心は揺れる。あくまでテロに対しては抑制的な手法を厳守していたマコトであったが、幸福を侵害するヤンキーには怒りを爆発させる。ここには悪を憎む一つの正義の価値判断が表れている。
これまで日本社会には社会の屑とでも言うべきヤンキーに甘過ぎた面がある。それが市川海老蔵に重傷を負わせた関東連合の元暴走族のような無法者を生むことになった。この点でヤンキーに対しては人体に直接攻撃する主人公は小気味良い。
しかし、主人公が正義の行動をするだけでは作品として面白みに欠けることも否めない。ここで活動の主体が主人公から、よりラディカルな思想の持ち主に変更される。能力の使用に躊躇がない人物の暴走が予感される展開となった。(林田力)
http://hayarikinet.anime-navi.net/
林田力 の書評
http://www.honzuki.jp/user/homepage/no2431/index.html
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『デストロイ』第1巻、超能力による社会変革

2012年01月06日

森恒二『デストロイアンドレボリューション』(集英社)は超自然的な能力を持つ高校生が日本社会を変えるためにテロを起こす物語である。主人公マコトは行き場のない怒りと孤独を抱える高校生である。驚異的な能力を身に付けた彼は理不尽な日本社会に破壊的な革命を目論む。
主人公が超自然的な能力を持ち、それを使って社会を変えようとする展開は定番である。代表例として『DEATH NOTE』がある。一方で本書の特徴は主人公が自分の力を用いて積極的に何かをしようとする夜神月的な存在ではないことである。主人公は受け身な人物で、計画は夜神月的存在の同級生が立てている。主人公は同級生の計画が完全に正しいものか葛藤する存在である。
現実社会を舞台にした作品において、超自然的な能力は作品世界のリアリティを破壊しかねないものである。たとえば超自然的な能力を発揮する道具を偶然拾うという展開は、いかにも漫画的である。これに対して本書では主人公のような受け身の人物が超自然的な能力を持つことが説得的に描かれている。(林田力)
http://setagaya.sankuzushi.com/
林田力hayariki韓国ドラマ
http://hayariki.yotsumeyui.com/
林田力『こうして勝った』FriendFeed
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『代紋TAKE2』ヤクザの盃関係や仁義を綿密に描く

2012年01月03日

『代紋TAKE2』木内一雅原作、渡辺潤作画のヤクザ漫画である。海江田組組員・阿久津丈二は、うだつの上がらないチンピラで、弟分からも舐められる始末であった。鉄砲玉にさせられた挙句、自分が撃った弾丸の跳弾に当たり、あっけなく死亡する。ところが、何故か10年前にタイムスリップして人生をやり直す。
誰しも「あの時、別の選択をしていれば」と思うことはある。東急不動産だまし売り裁判でたとえるならば「東急リバブルからマンションを購入しなければ」となる。ゼロゼロ物件被害者ならば「ゼロゼロ物件で賃貸借契約しなければ」となる。
そのような人生のIFを『代紋TAKE2』では丁寧に描いていく。うだつの上がらないチンピラに過ぎなかった主人公はヤクザとして頭角を現していく。これまでの惨めな自分とは決別し、これからは金の代紋を目指して極道をひた走る。画がヤンキー漫画風であるために拒否感を抱く向きもいるかもしれない。しかし、ヤクザの盃関係や仁義を綿密に描いている。(林田力)
https://sites.google.com/site/lintianlisanlang/
『こうして勝った』林田力の書評
http://book.mamagoto.com/
林田力:二子玉川ライズ優先で世田谷区の家計簿に歪み
http://hayariki.x10.mx/kakeibo.html
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