忍者ブログ
< 08月 | 123456789101112131415161718192021222324252627282930 | 10月 >
Home > カテゴリー > 林田力コミック

篠原健太『SKET DANCE』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月16日

篠原健太『SKET DANCE』(スケットダンス)は『週刊少年ジャンプ』で連載中の学園ギャグ漫画である。学園生活の悩みやトラブルを解決する部活動・学園生活支援部、通称スケット団に所属するボッスン(藤崎祐助)、ヒメコ(鬼塚一愛)、スイッチ(笛吹和義)らの活躍を描く。抱腹絶倒のギャグが多いが、ホロリとする人情話もある。

この点で同じく『週刊少年ジャンプ』で連載中の空知英秋『銀魂』と類似するポジションである。一方で両作品の舞台設定は大きく異なる。『銀魂』が天人に侵略された江戸という複雑な背景を背負った架空社会を舞台とする。これに対し、『SKET DANCE』は現実離れしたキャラクターや発明品が登場するものの、現代日本の普通の高校が舞台である。このため、人情話も『銀魂』には大時代的なロマンがあるが、『SKET DANCE』の話には親近感が湧くことが多い(林田力「『SKET DANCE』アニメ化への期待」リアルライブ2010年11月8日)。

また、『銀魂』の笑いがボケにあるならば、『SKET DANCE』はヒメコのツッコミである。特に週刊少年ジャンプ44号(2010年10月4日発売)に掲載された第156話「ロマンが道を往く」はツッコミが冴えていた。男子漫研と女子漫研のマンガ対決で、作品中にマンガが登場し、そのマンガに登場人物が容赦なくツッコミを入れる。

これは同じジャンプ44号に掲載された『銀魂』第326訓「GWあけも見えるっちゃあ見える」と読み比べても面白い。この回の『銀魂』はツッコミ不足を自認する内容であった。ボケキャラが多い中で数少ないツッコミ要員の志村新八が「ツッコミ、サボってた」と自白していた。

『SKET DANCE』は2011年春からアニメ放送も開始された。『SKET DANCE』が表紙及び巻頭カラーとなった週刊少年ジャンプ47号(2010年10月25日発売)上で発表された。

『銀魂』は既にアニメ化されたが、2010年3月に惜しまれつつも放送終了した。アニメ版『銀魂』は原作のテイストを活かし、原作以上に暴走した好作品であった。アニメスタッフが好き勝手やっている感もあるが、原作を読み込み、原作を愛していることが伝わる演出になっていた。アニメ版『SKET DANCE』でも原作の持ち味を活かした暴走が見られるか楽しみである。

『SKET DANCE 24』ではボッスンらが3年生に進級し、新入生も入学する。クラス替えや学級委員の選出、新入生向け部活紹介など新学期の学園イベントが続く。新入生にはスケット団のライバルも登場する。いかにも対抗馬というキャラ造形の中で九州弁の少女が印象的である。美少女的な外見と方言のギャップがモーニング娘。の田中れいなのようなインパクトがある。
http://www.hayariki.net/5/5.htm
PR
▲page top

『BLEACH―ブリーチ― 55』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月08日

久保帯人『BLEACH―ブリーチ― 55』は最終章・千年血戦篇に突入した。かつて尾田栄一郎『ONE PIECE』や岸本斉史『NARUTO-ナルト-』と共に『週刊少年ジャンプ』の三本柱に数えられたブリーチであったが、ピンチになってから必殺技を出すなどの御都合主義的な展開が批判されて失速気味である。

起死回生を図りたい新章では、連載当初の好敵手である石田雨竜との関連性が高い内容となっており、物語に一貫性を持たせている。『BLEACH』では連載第1話の扉絵に破面篇で初登場する平子真子が掲載されるなど、実は話が練られている。作者が最初から構想していたエピソードと読者に印象付けることは重要である。

一方で『BLEACH』失速の一因として描かれるヒーロー像が古い。主人公の黒崎一護は窮地に陥った過去の敵・破面(アランカル)を助けることに何の躊躇もない。昨日の敵は今日の友であり、目の前に苦しむ人いれば、その人物が過去に悪逆非道な人物であっても助けるという姿勢は従来型のヒーロー像には合致する。

しかし、過去を水に流し、焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むだけの発想が受けなくなった現在では古臭い。実際、『ONE PIECE』のルフィは自分達が助け出そうとする人物が過去に戦った敵だと知って「おれ達はお前なんか助けねェぞ」と言い放つ。最終的には助けることになるが、「たこ焼きが食べたい」が動機になっており、道徳的な優等生にはなっていない(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。

千年血戦篇の敵勢力である「見えざる帝国」(ヴァンデンライヒ)はドイツ語風である。スペイン語風であった破面と差別化している。個性があり、各々に様々な思惑のあった破面に対し、見えざる帝国は全体主義的である。構成員の外見はアランカルよりも人間的であるが、破面の方が人間臭い。敵ながら憎めない存在もいたアランカルに比べて、見えざる帝国は個性が乏しい。あくまでステレオタイプな民族文化のイメージになるが、破面も見えざる帝国もスペインやドイツのステレオタイプなイメージとマッチしている。

人権意識の低い日本では欧米先進国と比べてナチスドイツの問題性に対する意識が低い。ロックバンド氣志團がナチス親衛隊の制服を髣髴させる衣装でテレビ出演し、米国ユダヤ人権団体サイモン・ウィーゼル・センターから抗議を受けた。文明国にあるまじきものと非難される。

もっと破廉恥な状況もある。弁護士が自己のマネジメント会社のウェブサイトにハーケンクロイツを掲載した。ハーケンクロイツはナチスの公式シンボルである。親衛隊の制服に似た衣装どころの問題ではない。人権擁護を使命とする弁護士がハーケンクロイツを掲げることは、ロック歌手以上に問題である。この問題もサイモン・ウィーゼンタールに情報提供された。その意味で第三帝国を彷彿させる軍国ドイツ風に憎むべき敵勢力を描くことは日本社会に好影響を及ぼす。(林田力)
http://www12.atpages.jp/~hayariki/haya/5/16.htm
▲page top

加瀬あつし『ばくだん!幕末男子』

2012年05月31日

加瀬あつし『ばくだん!幕末男子』は『週刊少年マガジン』で連載中の漫画である。冴えない男子高校生が片想いの同級生と一緒に幕末の京都にタイムスリップする。

加瀬あつしのヒット作は1990年代に『週刊少年マガジン』で連載した『カメレオン』である。『カメレオン』は主人公がヤンキーとして成り上がる内容であったが、連載の長期化によってヤンキー自体が時代遅れの恥ずかしくてダサい風俗になった(林田力「勢いに乗る韓流(下)」PJニュース2010年11月12日)。過去の反抗的な10代に支持された尾崎豊も今の若者には全く支持されない。「独りよがりで意味不明」「何に怒っているかわからない」と酷評されている。

このような傾向には『カメレオン』も敏感で、後半ではヤンキーが時代遅れであることを風刺する自虐的なギャグも登場した。さらにラストでは大学受験というヤンキーとは無縁のイベントが展開された。『カメレオン』終了後も加瀬はヤンキー的な作品を発表してきたが、ヤンキー文化が時代遅れとなる中で『カメレオン』ほどのヒット作にはならなかった。

但し、現実社会では時代遅れのヤンキー文化でも、過去を舞台に描けばヤンキー的なキャラクターも時代遅れにならない。『ばくだん』は幕末を舞台に新撰組をヤンキー集団的なノリで描く。国際的にも注目される武士や侍の精神性を社会のはみ出し者であるヤンキーにたとえる『エグザムライ戦国』も『ばくだん』も歴史ファンにとっては噴飯物であるが、フィクションとしてはユニークな視点を提供する。

『ばくだん』は歴史をヤンキー風味で脚色し、加瀬作品らしいギャグも満載であるが、意外にもタイムスリップ物の王道を歩む。ヒロインは幕末の歴史に詳しく、未来を予測できる。主人公が敗者である幕府側に属する点も歴史のIFを期待できる。

歴史を知っているタイムスリッパーは歴史に介入したくなるものである。しかし、歴史に介入した結果、歴史が大きく変わると、物語が収拾つかなくなる。それ故にタイムスリッパーに「歴史に介入してはならない」という自制心を持たせる作品が多い。また、『信長協奏曲』のように歴史を知らないタイムスリッパーに自由奔放に行動させる展開が新鮮味を持つ。

これに対して『ばくだん』は歴史を知っていても、志士の荒れ狂う幕末の京都で主人公は非力であり、歴史を知っていることは無敵のアドバンテージとなる訳ではない。歴史に立ち向かうことで成長する主人公を描いている。(林田力)
http://hayariki.net/5/31.htm
▲page top

『BILLY BAT』アポロ計画の嘘に挑む

2012年05月26日

『BILLY BAT(9)』(講談社、2012年5月23日)ではアポロ計画の嘘に挑む。俄然面白くなってきた。浦沢直樹は『20世紀少年』で高度経済成長期の大阪万博に代表される「人類の調和と進歩」の価値観の歪みを描いた(林田力「業平橋駅がスカイツリー駅に変わる寂寥感」PJニュース2011年1月16日)。『BILLY BAT』では人類の科学史上の「偉大な一歩」と喧伝されるアポロ計画の虚飾に斬り込む。

もともと下山事件という戦後史の闇に切り込むことで注目された『BILLY BAT』であったが、戦国時代の巻物争奪戦など話題が転々として失速した。やはり投げっぱなしは宜しくない。一貫性が大切である。

その後はケネディ大統領暗殺という有名な事件が描かれることで再浮上したが、パンチ不足は否めない。もともとケネディ暗殺事件がオズワルドの単独犯ではないとする見解は広範な市民権を得ている。今更、陰謀が介在したと描いても、ありきたりである。『BILLY BAT』では主人公達の暗殺を阻止しようとする行動がドラマを盛り上げたが、その努力がなんだったのかというほどに暗殺後は公式見解通りの展開になった。

「人類は月に行っていなかった」とするアポロ計画の捏造説も知られた話である。月面着陸は地球上のスタジオで撮影されたものとする。アポロ計画には以下のような疑問が提示されている。

空気も風もないはずの月面で星条旗がはためいている(林田力「科学信奉者への反感」PJニュース2010年11月13日)。放射能防御を施していないロケットがヴァン・アレン帯を通過して人員が無事なはずはない。月面では重力が地球の1/6であるにもかかわらず、ビデオの中での物の落下速度が地球上のものと同じである。

アポロ計画陰謀論は権力だけでなく、科学という権威にも挑戦するものである。世の中には「非科学的」とラベリングしたがる科学信奉者もいる。それ故にアポロ計画の陰謀を描くことはケネディ暗殺の陰謀を描くこと以上にスリリングである。さらに『BILLY BAT』ではアポロ計画陰謀論の関係者に下山事件と接点のある人物が登場する。物語の初期のテーマと繋がった形である。(林田力)
http://www.hayariki.net/5/48.htm
▲page top

『新クロサギ 14』東日本大震災便乗詐欺を許すな

2012年05月06日

夏原武・企画・原案、黒丸『新クロサギ』は詐欺をテーマとした「戦慄の詐欺サスペンス」漫画である。詐欺師には人(カモ)を騙して金銭を巻き上げる白鷺(シロサギ)、異性(カモ)を餌として心と体を弄ぶ赤鷺(アカサギ)、人を喰わずシロサギやアカサギのみを喰らう黒鷺(クロサギ)がいる。

主人公の青年・黒崎は詐欺被害によって一家心中を起こした家族の唯一の生き残りである。詐欺師を憎む黒崎はクロサギとなって詐欺師を詐欺にはめていく。東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされた林田力にとって感情移入しやすい内容である(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。

第14巻では震災復興詐欺、秘書詐欺、劇場型詐欺を収録する。中でも東日本大震災に便乗した卑劣な震災復興詐欺はタイムリーである。何であれ詐欺は許せないが、震災復興詐欺には社会の敵とでも言うべき悪質さがある。

現実には福島第一原発事故に便乗した悪質商法が横行している。放射能の危険を煽り、ネット通販などで安物の放射線測定器(ガイガーカウンター)を販売する悪徳業者がいる。国民生活センターは2011年9月8日に「比較的安価な放射線測定器の性能」の調査結果を発表した。環境中の微量の放射線や食品・飲料水等が暫定規制値以下であるかの判定はできないと注意喚起する。また、充電器にPSEマークの表示がなく、プラグの栓刃に穴がないなど電気用品安全法に抵触する恐れのある製品もある。

また、ゼロゼロ物件詐欺や追い出し屋などでフリーターなどの貧困者を食い物にしてきた悪徳不動産業者が東日本大震災をビジネスチャンスとして、被災者・避難者向け賃貸住宅に力を入れている。根拠のない放射能汚染をツイッターなどで拡散し、福島県民らの不安を煽り立てている。ゼロゼロ物件業者が自主避難者に劣悪なゼロゼロ物件に住まわせる問題も起きている。悪質な業者を排除することが正しく放射能を恐れる道である。(林田力)
http://hayariki.net/manga.htm#22
▲page top

▲page top