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家族愛がテーマ『エンジェル・ハート 第27巻』

2011年08月28日

本書(北条司『エンジェル・ハート 第27巻』新潮社、2008年9月9日発売)は2010年6月に刊行停止が発表された週刊コミックバンチ連載マンガの単行本である。同じ著者の代表作『シティーハンター』のアナザーワールドにおける続編を描いたハードボイルドである。
『エンジェル・ハート』では冴羽リョウや海坊主(ファルコン)、野上冴子ら『シティーハンター』で馴染みのキャラクターが登場する。一方で海坊主が黒人であるように『シティーハンター』とは全く異なる設定もある。『エンジェル・ハート』でも『シティーハンター』にあるようなコメディーは健在である。しかし、それ以上に交通事故死した槇村香の心臓を移植された香瑩(シャンイン)とリョウを中心とした家族愛が主題になっている。
『エンジェル・ハート』はリョウと香瑩がシティーハンターとして依頼人から請けた仕事を解決していく物語である。数話に渡って一つの事件が展開される。伏線を引き継ぐことはあるものの、基本的に事件毎のオムニバス形式である。
この巻では最初から最後まで一つのエピソードが区切りよく収録されている。前巻までは主人公達自身の戦いという側面が強かったが、この巻では依頼人の事件を解決するという基本構成に即している。今回の依頼人は喫茶店キャッツアイの常連客の老紳士である。
20年前に離れ離れになった家族を思う気持ちが涙を誘う物語になっている。台湾マフィアの正道会の過酷な掟が背景にあるが、関係する人物が皆、本性は善人である。そのため、悲しい話でありながらも、人間に対して希望を持てるような読後感が残る。
『シティーハンター』も本作品も連載当時の現代を舞台にした物語である。『シティーハンター』の連載は主に1980年代である一方、本作品は2000年代である。この時代の開きは作品にも反映している。携帯電話やインターネットなどのIT技術の普及があるが、本作品で特徴的なのは国際色が豊かになっていることである。
主人公の香瑩は台湾人であるし、新宿には日本のヤクザ以上に台湾マフィアが勢力を伸張している設定になっている。この巻の依頼人も正道会のメンバーであり、それ故に異郷である日本で愛した家族への思いが強く感じられる。
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2011年09月19日(月) 20:56

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