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『BLEACH―ブリーチ― 55』v 林田力 記者wikiレビュー

2012年06月08日

久保帯人『BLEACH―ブリーチ― 55』は最終章・千年血戦篇に突入した。かつて尾田栄一郎『ONE PIECE』や岸本斉史『NARUTO-ナルト-』と共に『週刊少年ジャンプ』の三本柱に数えられたブリーチであったが、ピンチになってから必殺技を出すなどの御都合主義的な展開が批判されて失速気味である。

起死回生を図りたい新章では、連載当初の好敵手である石田雨竜との関連性が高い内容となっており、物語に一貫性を持たせている。『BLEACH』では連載第1話の扉絵に破面篇で初登場する平子真子が掲載されるなど、実は話が練られている。作者が最初から構想していたエピソードと読者に印象付けることは重要である。

一方で『BLEACH』失速の一因として描かれるヒーロー像が古い。主人公の黒崎一護は窮地に陥った過去の敵・破面(アランカル)を助けることに何の躊躇もない。昨日の敵は今日の友であり、目の前に苦しむ人いれば、その人物が過去に悪逆非道な人物であっても助けるという姿勢は従来型のヒーロー像には合致する。

しかし、過去を水に流し、焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むだけの発想が受けなくなった現在では古臭い。実際、『ONE PIECE』のルフィは自分達が助け出そうとする人物が過去に戦った敵だと知って「おれ達はお前なんか助けねェぞ」と言い放つ。最終的には助けることになるが、「たこ焼きが食べたい」が動機になっており、道徳的な優等生にはなっていない(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。

千年血戦篇の敵勢力である「見えざる帝国」(ヴァンデンライヒ)はドイツ語風である。スペイン語風であった破面と差別化している。個性があり、各々に様々な思惑のあった破面に対し、見えざる帝国は全体主義的である。構成員の外見はアランカルよりも人間的であるが、破面の方が人間臭い。敵ながら憎めない存在もいたアランカルに比べて、見えざる帝国は個性が乏しい。あくまでステレオタイプな民族文化のイメージになるが、破面も見えざる帝国もスペインやドイツのステレオタイプなイメージとマッチしている。

人権意識の低い日本では欧米先進国と比べてナチスドイツの問題性に対する意識が低い。ロックバンド氣志團がナチス親衛隊の制服を髣髴させる衣装でテレビ出演し、米国ユダヤ人権団体サイモン・ウィーゼル・センターから抗議を受けた。文明国にあるまじきものと非難される。

もっと破廉恥な状況もある。弁護士が自己のマネジメント会社のウェブサイトにハーケンクロイツを掲載した。ハーケンクロイツはナチスの公式シンボルである。親衛隊の制服に似た衣装どころの問題ではない。人権擁護を使命とする弁護士がハーケンクロイツを掲げることは、ロック歌手以上に問題である。この問題もサイモン・ウィーゼンタールに情報提供された。その意味で第三帝国を彷彿させる軍国ドイツ風に憎むべき敵勢力を描くことは日本社会に好影響を及ぼす。(林田力)
http://www12.atpages.jp/~hayariki/haya/5/16.htm
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