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『ONE PIECE 8』

2017年05月14日

尾田栄一郎『ONE PIECE 8』(集英社、1999年)は首領クリークとの戦いが決着する。副題は「死なねェよ」。無数の武器も腹にくくった「信念」という名の一本の槍には敵わない。ワンピースの戦いを象徴する言葉である。
ここにサンジが麦わらの一味に加わる。ここはワンピースでも屈指の感動的なシーンである。この巻では三大勢力や王下七武海という後に出てくる重要な設定が始めて語られる点も注目である。ジンベエも名前だけ登場する。
後半は魚人海賊団・アーロン一味の話になる。アーロンは自分達、魚人を人間より優れている万物の霊長と呼ぶ。これは現実の人間に対する強烈な風刺である。作者には人間中心主義を相対化する視点が感じられる。
アーロンは、その前の敵の首領クリークとは対照的である。クリークは腹心の部下さえ使い捨てにする最低野郎であるが、アーロンは仲間を同胞と呼ぶ。部下が傷つけられると怒る。クリークは逆らう部下を容赦しない。意見具申さえ許さない。完全な恐怖支配である。これに対してアーロン一味ではアーロンが怒りに任せて暴走しそうになると部下が押し留めたこともある。悪役も様々であり、面白い。
ナミがアーロン一味の幹部として登場するが、ナミと向き合った時のゾロの態度がカッコいい。憎まれ口を叩くが、相手を信頼している。方向音痴で方角は見失うが、人は見ている。さすが麦わらの一味の副船長格である。
http://www.hayariki.net/onepi.html
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ワンピース85

2017年05月06日

尾田栄一郎『ONE PIECE 85』(集英社、2017年)はホールケーキアイランド編の続きである。すれ違っていたルフィ達とサンジであるが、この巻では思いが一つになる。このような展開は熱くなる。

ホールケーキアイランド編ではサンジの出自が明らかになる。「実は貴種でした」という展開は最近の漫画に少なくないが、私は複雑な思いがある。親の格差が子にもつながる格差社会を反映しているように感じられるためである。それでも、この巻は家族を見捨てられない思いという普遍的なテーマで上手に再構成した。

麦わらの一味は、新たに連合を結成する可能性が出てきた。トラファルガー・ローの時と異なり、いけすかない相手である。マフィアではなく、ギャングの通り名であることが理解できるエピソードが語られる。マフィアには沈黙の掟(オメルタ)のように忠誠心が求められるイメージがある。これに対してギャングはゴロツキである。

文字通りの意味で共通の利害だけで結ばれた連合になる。ここでのルフィの態度が面白い。話してみることは頭ごなしに否定しない。一方で実際に会うと友達が受けた被害のことを蒸し返す。安易に過去を水に流す存在ではない。かつての少年漫画は「昨日の敵は今日の友」が定番の展開であったが、過酷なイジメなどの現実と直面する現代の子ども達にとってリアリティに欠ける(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。
http://www.hayariki.net/onepi.html
この巻ではジンベエが参謀役になっている。ジンベエは魚人島編で仲間にスカウトされている。麦わらの一味の比較的新しいメンバーのニコ・ロビンやフランキー、ブルックも年長者で、そのような役回りを期待しても不思議ではないが、ゾウで寝入ってしまうような抜けたところもある。ジンベエは今の麦わらの一味に足りない要素を補える存在である。

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林田力 書評 ワンピース69巻

2013年06月22日

尾田栄一郎『ONE PIECE 69』(集英社)はパンクハザード編の続きである。『ONE PIECE 68』に続いて依存性薬物(ドラッグ)の恐ろしさが描かれる。薬物依存症に陥ると人格が崩壊してしまう。『ONE PIECE』(ワンピース)は大人気のエンタメ作品であるが、実は社会性にも富んでいる。空島編はパレスチナ問題を連想させる。魚人島編では人種差別がテーマになっている(林田力「『ONE PIECE』第65巻、排外主義者の思想に迫る」リアルライブ2012年2月9日)。

パンクハザード編で描かれたドラッグの恐ろしさも現実社会の脱法ハーブ被害に重なる。脱法ハーブの健康被害は社会問題になっている。脱法ハーブ蔓延という社会悪に警鐘を鳴らす作品になった。『ONE PIECE』に登場するドラッグはキャンディである。ファッション感覚でドラッグを吸引する風潮への警鐘になる。

『ONE PIECE』にはカッコいい敵キャラも登場するが、薬物依存の黒幕はゲス野郎である。これも脱法ハーブへの警鐘として有益である。代わりにナミの正義感が見事である。泥棒猫の異名を持ち、金銭が大好きというエコノミックアニマルなナミであったが、ここでは薬物依存の子ども達を救おうと奮闘する。依存性薬物への怒りは本物の人間に共通する感情である。

パンクハザード編では、これまでルフィ達と接点のなかった最後の七武海であるドンキホーテ・ドフラミンゴがラスボスの様相を見せてくる。ドンキホーテ・ドフラミンゴは比較的早い段階で登場したが、チンピラ・ヤンキー風の外見であり、大物には見えなかった。同時に登場したバーソロミュー・くまの方が、懸賞金額は低く、扱いは地味であったものの実は大物ではないかと思わせた。実際、くまは革命軍とも接点を持ち、物語で重要な役回りが予想される。

その後、四皇という強大な海賊の存在が明らかにされ、七武海の凄みは低下した。四皇の一勢力が世界政府海軍と七武海の総力と対等な戦いを展開した後で、七武海の一人が敵の黒幕であったとしてもインパクトが少ない。『ONE PIECE 69』のラストではドフラミンゴの余裕が相手の力量を過小評価したためのもので、ドフラミンゴの底の浅さが露呈した。いきがっているヤンキーが正義の主人公に瞬殺される王道的な展開が想像できる。予想通りに終るか、どんでん返しがあるのか注目したい。
http://www.hayariki.net/tokyu/39.htm
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松井優征『暗殺教室』

2012年11月25日

松井優征『暗殺教室』は地球の破壊を予告するタコ型の謎生物「殺せんせー」が進学校の落ちこぼれクラスの教師になり、生徒達は日本政府の依頼で教師の暗殺を目論むという漫画である。週刊少年ジャンプに連載されている。

無茶苦茶な設定であるが、読ませる内容になっている。私立椚(くぬぎ)ヶ丘中学校は進学校であったが、3年E組は落ちこぼれ生徒を集めたクラスである。E組の生徒達は様々な面で差別され、自信喪失していた。「殺せんせー」は立派に教師をしており、E組の生徒達も向学心を取り戻していく。

『暗殺教室』の特徴が「殺せんせー」の特異なキャラクターにあることは言うまでもない。加えて落ちこぼれクラスの生徒達を普通の子ども達としている点も大きな成功要因である。かつては落ちこぼれと言えばヤンキーと決まっていた。しかし、ヤンキーでは読者は感情移入できない。ヤンキーは他の生徒に迷惑を及ぼす有害な存在である。むしろ落ちこぼれクラスに隔離することが正しい教育施策と受け止められかねない。
http://book.geocities.jp/hedomura/mccmccmcc3.html

また、ヤンキーの更正物語は使い古された筋書きであり、新鮮味に欠ける。もともと日本社会はヤンキーという迷惑かつ恥ずかしい存在に対して寛大過ぎた。ヤンキーには荒れるだけの原因や理由があるかもしれない。それ故に非行を理由にヤンキーを退学処分にすることが教育者として責任放棄であるかのようなナイーブな論調も出てくる。

しかし、ヤンキーに荒れる原因があるとしても、ヤンキーが暴走行為などで他人に迷惑をかけることを正当化する理由にはならない。他の生徒の教育環境を維持するという視点に立つならば、ヤンキーの事情を無視して問答無用に排除することが教育者として正しい解決策になる。
http://www.hayariki.net/7/49.htm
他の生徒の迷惑を省みず、教育者にヤンキーの抱える問題に向き合わせることを期待することは、ヤンキーの甘えであり、自己中心主義である。相手がヤンキーだからといって、相手に一目置き、相手の心情を理解して向き合わなければならない理由はない。むしろヤンキーの暴言を逆手にとって硬直的な対応をした方が、ヤンキーに甘えを自覚させることができる(林田力「AKB48「カチューシャ」PVで教師役の篠田麻里子の教育的センス」PJニュース 2011年6月3日)。ヤンキーは甘ったれでしかない。周囲がヤンキーの苛立ちや不満を汲み取って温かい目で見守ることは完全な誤りである。

『暗殺教室』の落ちこぼれクラスには問題児はいても、ヤンキーはいない。後の修学旅行編で登場した他校生徒のようにヤンキーは徹底的に外道に描かれている。残念なことに日本のエンタメでは恥ずかしい存在であるヤンキーを持ち上げる作品も少なくないが、『暗殺教室』は異なる。ヤンキーを排除する健全な道徳観が背後に存在することが、一見すると反道徳的な『暗殺教室』を楽しめる要因である。
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浦沢直樹『BILLY BAT(10)』v 林田力 wikiレビュー

2012年09月26日

浦沢直樹著、長崎尚志ストーリー共同制作者『BILLY BAT』は歴史的事件の背後に存在するコウモリ・ビリーバットの謎を描くミステリー作品である。『モーニング』に連載中である。

『BILLY BAT(10)』は日本での巻物探しと米国の日本人街での日本人連続殺人事件という現在と過去の二つの物語が同時進行する。『BILLY BAT』はイエス・キリストの磔刑や戦国時代など様々な時代に飛んでいたが、この巻では過去と現在に絞られており、分かりやすい。
http://www.hayariki.net/7/7.htm
ストーリーも悪そうなキャラクターは結局のところ、悪人であるという明白な真理を述べており、分かりやすい。これは東急不動産だまし売り裁判で東急リバブル東急不動産と闘った林田力にとって納得できるものである(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。
http://www.facebook.com/riki.hayashida

一方で下山事件の真犯人やアポロ計画の捏造(人類は月に行っていなかった)など現代史のミステリーは後景に退いた。どのように物語が収斂するのか、注目である。
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